沢田研二の曲に「遠い夜明け」というのがあってそれとタイトルが頭の中でゴッチャになってしまった。
女ジャン・ギャバンと言いたくなるような貫禄たっぷりのシモーヌ・シニョレ演ずる農婦と殺人を犯して逃げている犯罪者ジャン(アラン・ドロン)との悲恋を描いたメロドラマ。
逃亡犯なのにこのジャンは、働き者で人格も善良そうで・・・ま、そんな感じで農婦や街の女たちに取り入るジャン。
街と言ってもフランスの田舎街、人間関係は中々陰湿。
密告されて憲兵に囲まれて、森の中を逃げるジャン、匿う農婦。
物語の途中、子供の父親が誰だか分からない頭の軽い若い女とも、関係を持つジャン。
逃亡犯なのに、このようにモテ男なのはアラン・ドロンがやっているから説得力がある。
農婦クーデルク(シモーヌ・シニュレ)とジャンは最後憲兵の銃で撃たれ建物に火がついて二人とも死ぬ。
50歳のシモーヌ・シニュレと36歳のアラン・ドロンが恋仲ってのはリアリティがないような気がするけれど、観ているとあり得なくもないように見えてくるから不思議。
90分の短い作品なのだけれど、犯罪者なのに周囲に優しいジャンがあのような最期を遂げる切なさ、案外隠れた名品だと思うけれどなぁ。